パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#9

PCT/パシフィッククレストトレイル
スポンサーリンク
ホーム » PCT/パシフィッククレストトレイル » パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#9

アメリカ三大トレイルのひとつ、パシフィッククレストトレイル(通称:PCT)を歩いて旅したやまゴリラの旅日記。

PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4265kmのロングトレイル。スルーハイク(全行程をを1シーズンで歩き切ること)にはおおよそ4〜6ヶ月を要する。

衣食住のすべてをバックパックに詰め込み、アメリカの大地を放浪する旅の中でやまゴリラはなにを見て、そしてなにを感じたのか…。

そのすべてを綴った旅日記。

前回の記事はこちら
スポンサーリンク

PCT 南カリフォルニア編 #6

Day30-Day36/Miles566.5-702.2

スルーハイクとは?

ついにPCTのハイライトとも言えるシエラネバダ山脈の入り口、Kennedy Medowsにやってきた。

絶景の中でのハイキングに期待を抱きながら、皆んなでバーガーにビール、シェイクなど各々トレイルで求めていた欲望を爆発させている。

日本ではお酒は飲まないのだが、アメリカでは積極的に飲むようにしている。

『We made 700mile〜!』とウイスキーのショットを頂いたり、『いっぱいBeer〜!』と言いながらビールのピッチャーを皆に届けるなんて日本ではまずありえないし自分でも想像もつかない。

コミュニケーションって言葉だけじゃないのかなって。(言い訳)

ちなみに『いっぱい』『みず』『よっぱらい』らへんの言葉を彼らは覚えていて、ウォーターキャッシュや川があると『いっぱいみずー!!!』、ビールをたくさん飲んで酔ってくると『いっぱいよっぱらいー!!』などと言っている。

彼らのおかげで楽しい毎日を過ごしているのだが、ここKennedy Medowsまでの道のりは容易ではなかった。

シエラネバダの入り口であるセコイア国立公園に。

というのもTehachapiからKennedy Medowsまでの約150マイルの区間、水源の汚染が原因でリタイアするハイカーが多発していたのだ。

有害藻類ブルームという聞いたこともない水質汚染で、煮沸やフィルターを通しても安全を確保できない様子。

この区間をスキップするハイカーが多数見られたが、幸い安全確保できそうな情報を得られ、大量の水を担げばなんとか歩き通せそうだったので、仲間と相談しスキップせずに歩き通すことを選んだ。

容易でないと大袈裟に言ったが、25mile水場がないだけなので担いだ水は6L程度。

それでも乾燥地帯でそれなりにアップダウンのあるエリアで、水の不安を抱きながら摂取する水も最低限。

フードも水の要らないものを選んだので普段より重量は増した。

重いバックパックに苦戦しながらも、仲間内での合言葉は『Thru is Thru』

スルーしなきゃスルーハイクじゃないだろ!って確かにその通り。

歩ける区間を楽してスキップしてもいい事なんて何もない。

仲間と協力しながら歩いたこの区間は自分の中でとても印象深いものとなった。

まるで砂漠のような景色の南カリフォルニア。

与えるということ

そしてこのエリアを仲間のハイカーと歩く中で学んだ事がある。

彼らって自分がよければOKという感覚が全くない。常に他人への気遣いを忘れていない。

ウォーターキャッシュで水を補給している時のこと。

蛇口のついているボトルに水を注ぎ足して、そのボトルから各々補給するのだが、残っている量は半分程。(おそらく10Lは残っている)

『皆が補給しても全然足りるな〜水の注ぎ足しすごく重そうだし、足りそうでラッキ〜!』なんて思いながら自分の水を確保して束の間の休息を満喫していた。

こんな量を僕たちハイカーのために用意してくれているトレイルエンジェルには頭が上がらない。

しかし、彼らはというと補給するボトルを満タンにして次のハイカーへの気遣いを忘れずに行動していた。

ラッキーなんて思ってしまった自分を恥じた。

これまでの旅で他のハイカーはもちろん、トレイルエンジェルやトレイルの管理団体、たくさんの人の気遣いやサポートに支えられて歩いてきている。

ここまで皆に甘えて、皆に助けられっぱなしだ。

それなのに自分は、彼らに、そして周囲の人たちに何も返せていない。

それどころが毎日必死で、『気遣う』という思考すら停止しているのではないか。

こんな小さな事も出来ていない。

やり方が分からないとか、言葉が分からないとか、そんなの関係ない。

些細な事しか出来ないかもしれないが、自分も他人に与えられるハイカーになろう。

そう心に誓い、今行動に移せている事は自分にとってすごくプラスになった。

『洗濯行くけど皆どない〜?』『グロッサリーいくけどなんかいる〜?』『よかったらビール飲んでな〜!』『テン場いいとこ見つけたよ〜!そこに張りーや!』

ほんと恥ずかしいくらい些細な事だけど。

『そんなの当たり前にやれよ!』って言葉も聞こえてきそうだが、確かにその通り。

出来てなかった自分に反省。これからが大事!

英語にトレイルに色々大変な事も多いけど、周りに目を向けて余裕を持って旅をしよう。

そんな事を思いながら南カリフォルニアの区間を歩き終えた。

パシフィッククレストトレイルのサイン。

コメント

  1. 池ちゃんはやっぱり睨みを効かす より:

    Thru is thru はまじでそうよ!
    スルーにこだわり過ぎずに楽しんで歩いてきてー!とは言うものの、スルーにせな意味ないと心で思ってる。

    スケッチさんもこの前店きてそんな話なったよ^_^

    大ちゃんにはあえて言おう。
    無理してでもスルー!

  2. Yumi より:

    厳しい砂漠を乗り越えられて、良かったですね。6/4/22にthree point trail head / Angeles National Forestでtrail magicをハイキング仲間と行い、goat japanと記帳されているのを見つけ、会えずの残念だっったなぁと思っていたんです。PCT hikers達の喜ぶ笑顔と安堵の表情が、たまらずTrail magicを楽しんでました。山では、国籍、年齢、性別に関わらず、笑顔で話が出来るのが嬉しいですね。これからも一歩ずつ頑張って下さい。応援してますよぉ〜! yumi

スポンサーリンク

タイトルとURLをコピーしました