パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#10

PCT/パシフィッククレストトレイル
スポンサーリンク
ホーム » PCT/パシフィッククレストトレイル » パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#10

アメリカ三大トレイルのひとつ、パシフィッククレストトレイル(通称:PCT)を歩いて旅したやまゴリラの旅日記。

PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4265kmのロングトレイル。スルーハイク(全行程をを1シーズンで歩き切ること)にはおおよそ4〜6ヶ月を要する。

衣食住のすべてをバックパックに詰め込み、アメリカの大地を放浪する旅の中でやまゴリラはなにを見て、そしてなにを感じたのか…。

そのすべてを綴った旅日記。

前回の記事はこちら
スポンサーリンク

PCT シエラネバダ編 #1

Day37-Day43/Miles702.2-767.2

不運と好運

ついに待ちに待ったシエラネバダ山脈。

人気の山岳エリアでデイハイカー等、PCTハイカー以外も大勢ハイキングを楽しんでいる。

景色や環境もガラッと一変し、これまでの灼熱の砂漠地帯から標高3000mを越える山岳地帯へ。

シエラネバダエリアは絶景が続く。バディハイカーのターザン。

僕たちは約90mile +16mileの行程を5〜6日間で歩き抜ける予定だった。

迎えた初日、広大な景色に夢中で歩くが、標高が上がり段々と空気が薄くなり、メンバー全員の体調が優れないためこの日は18マイルで行動を終える事に。

17時過ぎには行動を終えて、ゆっくりとテントの中で休み、翌日は無事に体調も回復。

2日目は初日の遅れを取り戻すため約30マイルを歩き、ここまでは順調な山行だった。

倒木の前でタバコを分け合うハイカーたち。

3日目、この日は翌日のホイットニー山へ向けて麓のテント場まで進む予定。

ホイットニー山はPCTからは外れるが標高4418mのアメリカ本土最高峰の山である。

今年は積雪も少なく何事もなく登頂できるはずだった。

しかし迎えた朝。

テントに雨が打ちつけているではないか。

PCTを歩き出して約1ヶ月。初めての雨。

とは言っても豪雨というには程遠い、日本ではよくあるレベルの雨。

普段は7時前後に出発するのだが、雨が止まないかと少し待機して、9時過ぎの出発となった。

ゆうてる間に止むだろうと思っていたが、いつまで経っても雨が止まない。

それどころか標高を上げるにつれて、なんと雨が雪へと変わってきたではないか。

この時期の降雪は異例中の異例。行動を共にしていたアメリカ人も聞いたことがないと言っていた程。

不安を抱きながらも先へ進む。

するとトレイルの側に見覚えのあるテントを見つけた。

バディのターザンだ。

彼はカリカリのULハイカーでレインパンツを持っていない。

それにレインジャケットも撥水しておらず、全身びしょ濡れ。

加えてパックライナーに穴が空いており全ての道具が濡れている危険な状態だった。

本人も濡れにより体温を奪われており、精神的にもかなりナーバスになっていた。

普段はしっかり者で皆を引っ張ってくれる彼がもう動けないとシュラフにくるまっている。

この時点で引き返して一旦街に降りるのがベストと考え、必死に説得。

歩いてきたトレイルを20マイル近く引き返すのは気が進まないが、この先の標高が高い山岳エリアを30マイル進むのはリスクが多すぎると考えた。

トレイルで出会ったレンジャーからの『明日はSnow stormになる予報』という言葉も引き返す事を後押しした。

しかし、もう一人のバディであるウォーターボーイがターザンのテントに気づかず先に進んでいた。

このエリアは圏外で彼にコンタクトする術もない。

彼に事情を説明する必要があるのだが、なんせ歩くのが早くトレイルを進むもなかなか見つからない。

『彼を見落としていたらどうしよう』『もし会えなかったら』という不安を抱きながらも、小走りで必死にトレイルを進むと、なんとか彼のテントを発見。

彼もポンチョしかもっておらず体温を取り戻すべくシュラフにくるまっていた。

ターザンの現況や今後の天気を説明して彼も引き返す事に納得。

なんとか全員合流し引き返す準備ができた。

少しほっとしてトレイルを必死で引き返すもまだまだ20マイルあり、完全に安心はできない。

道中、奇跡的に晴れ間が出てきて、全員ありったけの道具を乾かした。

なんとか今夜を乗り越える準備が出来たのは、本当に運が良かったとしか言いようがない。

翌日、無事にトレイルヘッドまで戻る事ができ、現在Bishopという街に滞在している。

彼らの状況から考えても一つ選択肢を間違っていれば、少し状況が悪い方へ傾いていたら、僕たちはどうなっていたかも分からない。

危険といつも隣り合わせであるという事を再認識できた。今回も運が良かっただけなのかもしれない。

僕はというと、雨に打たれてiPhoneが故障してしまい新しいものを契約。

ここでも一悶着、いや、数時間を要する戦いがあったのだが、もうそれはいいだろう。

今、無事にベッドに横たわっているのだから。

今回は色々な事がありすぎて、僕では話をまとめる事が出来なかった。加えて、スマホの故障により写真も消えてしまい掲載するものがない。

非常に読みにくいブログかもしれないが、とりあえず書き残します。

シエラでフライフィッシングを楽しむハイカー。

コメント

  1. いつも見させてもらってます!!

    ほんと無事で何より!!

    楽しいだけじゃない、明るいだけじゃない部分も見せてもらえて勉強なります!!

    無事帰ってきていっぱい話聞かせてもらうの楽しみにしてます!!

    • やまゴリラ diddypyo より:

      しょーもないブログ見て頂いてありがとうございます!
      ありのままというのが当ブログのモットーでございます。笑
      帰国後、お話できるのを楽しみにしてます!

  2. Yumi より:

    正しい判断で、Bishopで静養出来て、良かったですね。
    去年、Whitneyを挑戦した際、前日になって、天候がsnow stormになってしまい、登頂を諦めました。下山中のキャンプした方々があまりに酷いstormだったと皆、口を揃えていて危険な状態だったようです。諦めを決断するのも勇気ですね。Yosemite の山火事の影響がないことを祈っております。

スポンサーリンク

タイトルとURLをコピーしました