パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#11

PCT/パシフィッククレストトレイル
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アメリカ三大トレイルのひとつ、パシフィッククレストトレイル(通称:PCT)を歩いて旅したやまゴリラの旅日記。

PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4265kmのロングトレイル。スルーハイク(全行程をを1シーズンで歩き切ること)にはおおよそ4〜6ヶ月を要する。

衣食住のすべてをバックパックに詰め込み、アメリカの大地を放浪する旅の中でやまゴリラはなにを見て、そしてなにを感じたのか…。

そのすべてを綴った旅日記。

前回の記事はこちら
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PCT シエラネバダ編 #2

Day44-Day49/Miles 766.3-830.5

トレイルからの撤退

スノーストームによりシエラを一時撤退し、僕たちはビショップの街に降り立った。

トレイルヘッドから最寄りの街はローンパインになるのだが、僕たちのゼロデイは”休養”ではなく”遊び”。

なので少しでも大きい街へ駆り出そうというのが基本的な考え方。

ローンパインからビショップまでは約60マイル、車で1時間程の距離。

この区間は1日2本?シャトルバスが走っていてそれを利用して移動した。

ほんとアメリカ人はたくさんの情報を持っている。当たり前か。

ビショップというシエラネバダ沿いの街へ。クラシックなシアターが残っていた。

この街ではやらなければならない事がたくさんある。

水没し故障したスマホの契約、寒さ対策のギア購入、新しいバックパックの受け取り、古いバックパックの発送、リサプライ…

それに加えてハイカー仲間とボーリングにビリヤードにバーでパーティ。

精神的にも疲れていたので、2日間ビショップでゼロデイをとったのだが、全く休めなかったというのが正直なところ。

それでもタスクに追われソワソワしながらも、仲間や地元の人たちと時間を共有できたのは良い思い出。

アメリカのボウリング場。日本もアメリカも若者の遊びってそんな変わらないんだな。
オーストラリア人のブランビーがビールを奢ってくれた。
ハイカー仲間のターザンはテキーラを飲み過ぎてベロベロに。

ホイットニー山と仲間たち

シエラ撤退から5日後、僕達はやっとトレイルへ戻ってきた。

遅れを取り戻すべく7泊8日でVVRという湖のほとりのリゾートまで歩く予定。

1日目は見慣れた光景。

そう、歩くのが3回目だ。

バディーたちと『何回歩くねん』とか『前回とは全く違う光景だな』とタラタラ文句を言いながら、1日かけてやっと前回の撤退ポイントへ戻ってきた。

そこからアメリカ本土最高峰のマウントホイットニーへ。

4418mへ高度を上げていくにつれて酸素が薄くなり、いつもよりも時間をかけてなんとか登頂した。

バディのハイカー、ウォーターボーイと記念撮影。ついにアメリカ最高峰のホイットニーに登頂した。
まるで違う惑星に迷い込んだかのような景色が広がる。@マウントホイットニー

今回は何事もなく快調に進み、順調に思えるが僕には1つ不安材料があった。

それは新しいハイカーがグループに合流したこと。

僕達はターザン、ウォーターボーイ、ゴート(僕)の3人でここのところ旅をしており、彼女は以前から一緒に歩きたい!と言っていたハイカー。

シエラ撤退で後ろを歩いていた彼女が追いつき、一緒に歩くことになったのだ。

何がダメなの?

仲間が増えるのはいい事だ。

しかし、彼女が僕達のペースに合わせられるとは思わない。

彼女と出会ったのはもう1ヶ月程前なので、歩くペースもある程度分かっている。

実際、ホイットニーも途中で断念している。

でも僕がNOという訳にもいかないし、まだ一緒に歩いて数日。

ペースが全てではないし、人間的にはとても素晴らしいハイカー。

マイナスには考えずに皆でハイキングをどう楽しむかを考え、旅を続けた。

シエラネバダは多くの湖が点在する。この日は無風で素晴らしいミラーリングを撮影することができた。

しかし、僕の悪い予感は的中してしまった。

ペースが遅い上にトレイルではずっとおしゃべり。

ターザンも僕たちを待たずにどんどん先に歩いていくし、ウォーターボーイはおしゃべりの付き合い。

結局皆んなが揃うのはテントサイトのみで、3人がトレイルで会うことがほとんどなくなってしまったのだ。

彼女に話を聞くと、シエラはすごく楽しみにしていたエリアで1日15-20マイル位を目安に歩きたいとのこと。

急ぐ必要はないわというけれど、僕の考えは違う。

早く長く歩くからといって楽しめない訳はない。

むしろ歩く時はしっかり歩くことで、気持ちにも余裕が生まれ、朝にコーヒーを飲みながらグダグダしたり、お昼のチルを楽しめる。

グループの雰囲気やハイキングスタイルが変わり、『潮時かな〜』なんて思いながらも、1日に20マイルは歩いていたので気にしないようにして旅を続けた。

バディのターザン、ウォーターボーイ。

必然か、はたまた偶然か

シエラネバダのアップダウンに苦戦しながらも、絶景や仲間に囲まれて毎日ハイキング三昧。

こんなに幸せなことはないだろう。

そして僕たちはミューアパスへ到着。

度々、インスタグラムでも写真を目にすることのある有名な峠だ。

標高3500m〜4000mのシエラエリアはドライイヤーの2022年でさえ残雪が残る。

この最高のロケーションで僕は2つの再会を果たす。

1人目はBrandon。

彼と会ったのはなんと1日目。

南端のポイントへ向かうバスで一緒になって以来だ。

彼は100マイル程後ろを歩いていたので、正直再会するとは思っていなかった。

スノーストームの撤退がなければここで会うことはまずなかっただろう。

彼のトレイルネームはフェニックス。なんと1日目以来の再会だ。

2人目はストレッチ。

彼とはハイカータウンからテハチャピまでの50マイルチャレンジで一緒に行動し、その後のゼロデイも一緒に過ごした。

僕たちがテハチャピで2日目のゼロデイをとる間に、彼は先へと進むとのことで別れて以来だ。

彼はとっくに先に進んでいると思っていたが、大学関係の用事で1週間程トレイルを離れておりまさかの再会を果たした。

もちろんターザンやウォーターボーイとも面識があるので、彼は僕たちと行動を共にすることとなった。

長身で若い彼は歩くのがとても早いハイカーだ。

今回のシエラ撤退、時間もマイルもロスしマイナスに考えていたが、それがなければ彼らとの出会いもなかっただろう。

本当にトレイルの出会いはおもしろい。

実際、僕はいまストレッチと2人で歩いている。

彼とはハイキングスタイルや考え方がとても合い、彼も『ゴートとのハイキングはプレッシャーがなくて好きだ』と言ってくれている。

グループに疑問を抱いていたタイミングでこの出会い。

偶然なのか、必然なのか。

それはトレイルを歩き終えた時、判断するとしよう。

新たに共に旅をすることになったストレッチ。

コメント

  1. yumi より:

    出会いで豊になりますね。”出会うものすべてが私の人生”、禅のお坊さんのお言葉好きです。

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