パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#14

PCT/パシフィッククレストトレイル
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アメリカ三大トレイルのひとつ、パシフィッククレストトレイル(通称:PCT)を歩いて旅したやまゴリラの旅日記。

PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4265kmのロングトレイル。スルーハイク(全行程をを1シーズンで歩き切ること)にはおおよそ4〜6ヶ月を要する。

衣食住のすべてをバックパックに詰め込み、アメリカの大地を放浪する旅の中でやまゴリラはなにを見て、そしてなにを感じたのか…。

そのすべてを綴った旅日記。

前回の記事はこちら
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PCT 北カリフォルニア編 #2

Day67-Day75 1153.4-1371.7mile

動き出すご縁

僕が今歩いていてる北カリフォルニアは本当に暑い。

標高が高くないことに加えて季節は真夏。

街の天気予報を見ると41°となっている。

そりゃ暑い訳だ。

そしてこのエリアは数年前に山火事があったエリアで、それも暑さに拍車をかけている。

トレイルに水をまくと「ジュワッ」と言ってすぐに蒸発してしまう。

山火事で焦げてしまっている木々から、枝が落下する音が時折聞こえる。

幕間地を選ぶのも一苦労だ。

実際、トレイルを管理しているPCTAからもアラートが出ており、スキップするハイカーも多くいるようだ。

山火事によって焼かれた木々。この場所で火事が起こったと考えると胸をグッとつかまれる。

ストレッチと別れた後、1人でのハイキングを楽しんでいた僕だが、ここ1週間は本当に周りに人がいない。

山火事でのスキップに加えて、コロナの影響でビザが取得できず、帰国する海外ハイカーも多々いるようだ。

そう思うと無事にビザも取得して、全行程を歩けるチャンスのある僕は幸せだし、それを大事にしないとな。

そして淡々と毎日を過ごしている中、僕はある事に気づいた。

『このペースでいくと誕生日にミッドポイントつくんちゃう?』

メキシコ国境から1325マイル、ちょうど折り返しの地点だ。

周りにハイカーがいないこともあり、誕生日は1人寂しくテントの中で、『誕生日おめでとう、オレ』とか言ってるのかなと思っていたが、特別感があっていいやん。

これもひとつひとつの選択の巡り合わせやな〜とこれまでの思い出に浸りながら足を進めた。

Never Stop Fighting!

誕生日前日(7/24、日本時間では誕生日当日)、その日も焦げた木々に囲まれて、特に変わり映えのないハイキングをしていた。

このエリアはトレイル上に水場があることが少なく、サイドトレイルを歩いて水を取りに行くので、各所に『○○ Spring 100ft』のようなサインが立っている。

そして、ある水場へ向かっている時にボロボロのハイカー達が待ち望むものを発見した。

『←Trail Magic!!!』

トレイルマジックのサイン。こんな幸運が会っていいのだろうか?

嘘だろ?神様が催してくれた誕生日会?

そんなことが頭によぎり、エンジェルに話を聞くと彼も今年PCTを1000マイルハイキングしていたようで、週末の2日間限定でマジックをしていたようだ。

ぞくぞくと他のハイカー達も集まってきて、皆で食事やビール、ひとときの休息を楽しんだ。

そして何気なく、

『オレ明日誕生日やねん!誕生日にミッドポイントに着くってクールじゃない?』

って言うと、

『マジかよ!!もっと早く言えよー!!パーティーだー!!』

と明らかにムードが盛り上がり、その場で出会ったハイカー達が祝ってくれた。

ここ最近、1人で行動することがほとんどだったのでこんなイベントが起こるなんて想像もしていなかった。

偶然出会ったハイカーたちとトレイルエンジェル。

祝福のPCTミッドポイント

翌日、偶然の思い出に浸りながらミッドポイントに到着。

写真撮影や先着のハイカーたちと話をしていると前日のハイカーたちがやってきて、

『ハッピーパースデー!!』

と、大声で祝ってくれた。

PCTのちょうど中間地点。もう半分?まだ半分?

『Chesterにはいくんだろ?』

ミッドポイントから14マイル先に街へのヒッチポイントがあるのだが、その街に寄る予定はなかった。

誕生日なのに〜と言われながらも、先を歩くストレッチたちに追いつきたい気持ちもあったので、ここは我慢して…

と思いつつも縁を感じ心は揺らぐ。

(暑すぎてアイスクリームとコーラに惹かれただけ説もある。)

決め手に欠け、どっちつかずのまま歩いているうちにトレイルヘッドに到着。

すると驚きの光景が僕を待っていた。

トレイルマジックだ。

2日連続でこんなことがあっていいのだろうか?

これまでを振り返っても月に数回マジックがあるかないかくらい。

エンジェルたちも僕が誕生日と知っていたとしか考えられない。(ありえない)

頂いたスイカを食べていると、

『これから街へ戻るんだが乗ってくかい?』

立派なベンツのバン。こんな車でバンライフしてみたいな。

気づけば僕はバンの助手席で山々を眺めていた。

もう『行くしかない』としか思えないほどのタイミングと出会い。

他のハイカーたちに話を聞くとその街にある公園でキャンプが出来るそう。

というかキャンプしてても誰も気にしないと。

そういう問題か?と思いつつも、みんなと一緒に公園へ向かう。

道中、喉がカラカラだった僕は見つけたスーパーに行くとみんなと別れた。

さぁコーラとアイスだ!

足早にスーパーに駆け込むとそこには見慣れた面々が。

旅を始めた頃に行動を共にしていたトレイルファミリーの3人だ。

それまではちょくちょく街で会っていたのだが、ビショップでのスマホ故障事件の時に助けてもらって以来の再会。

『OMG〜〜!!!』

3人とビッグハグを交わし話を聞くと、山火事のエリアをスキップして街に着いたところらしい。

そしてこの先の40マイル程もスキップする予定みたいなので、数時間の滞在だったそう。

彼らに誕生日だと伝えると、

『まじかよ!レストランいくぞ!』

と、食事に誘ってもらい、更にはご馳走してくれた。

久々の再会でお互いの近況や今後のこと、他のハイカーどうしてるかな〜なんてたわいのない会話をしていると時間はあっという間に過ぎさった。

帰り際、『記念に写真とっていい?』とカメラを向けるとバースデーソングを歌ってくれた。

異国の地、しかも人里離れたトレイルでこんな忘れられない誕生日を迎えるとは想像もつかなかった。

彼らとはかれこれ2ヶ月以上の付き合い。

心が満たされた僕はその日のうちにトレイルに戻った。

その後、あの2日間が嘘だったかのように1人での旅が戻ってきた。

夢でも見ていたのだろうか?

歩き始めて約2ヶ月半。

これまでの小さな出会いや縁が連鎖をしはじめているように感じる。

そしてそれを大切にしてきてよかったなとも思う。

ほんと恵まれているな。

北カリフォルニアのPCT沿いにあるバーニーの滝。

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