パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#19

PCT/パシフィッククレストトレイル
スポンサーリンク
ホーム » PCT/パシフィッククレストトレイル » パシフィッククレストトレイル旅日記 PCT#19

アメリカ三大トレイルのひとつ、パシフィッククレストトレイル(通称:PCT)を歩いて旅したやまゴリラの旅日記。

PCTはメキシコ国境からカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する総距離4265kmのロングトレイル。スルーハイク(全行程をを1シーズンで歩き切ること)にはおおよそ4〜6ヶ月を要する。

衣食住のすべてをバックパックに詰め込み、アメリカの大地を放浪する旅の中でやまゴリラはなにを見て、そしてなにを感じたのか…。

そのすべてを綴った旅日記。

前回の記事はこちら
スポンサーリンク

PCT 4265kmの旅を終えて

自分だけの旅

アメリカでの旅を終えておおよそひと月が経過した。

言うまでもなく、トレイルでの生活は刺激的で開放感のある、他には代え難いものであったが、生まれ育った日本での生活は心休まるものである。

この1ヶ月で本当に多くの友人や新しく出会った方々に”おかえり”という言葉をかけてもらった。

当初、2020年にアメリカを旅するつもりで準備してきたが、パンデミックの影響で2年間の延期を余儀なくされた。

『今後、本当にPCTを歩けるのだろうか?』

そんな先の見えない不安でいっぱいになり、現状をにくむこともあった。

しかし、この2年間で旅を見守ってくれ、帰りを待ってくれる大切な友人たちができた。

結果論ではあるが、この延期があったことで自分を取り巻く人の輪が広がり、今では2022年に旅ができて良かったと思えるほど。

いつどのような状況で旅に出ようと、旅をした事実は変わらない。

しかし、自分の周りにどんな人がいるかで、旅の意味合いは変わってくるのではないだろうか。

僕の旅を豊かにしてくれた友人たちには感謝しかありません。

ありがとう。

友人が営む”peg”での一コマ。ハイキングカルチャーの中心となっていく場所だと思う。

さて、先日友人がパーソナリティをつとめるラジオにゲスト出演させて頂いた。

旅やロングトレイルをメインテーマに扱う番組なのだが、その中で話した内容を少しここでも取り上げようと思う。

ロングトレイルに興味をもっている方は一度はこの言葉を聞いたことがあるのではないだろうか?

“ロングトレイルは出会いです”

本当によく聞く言葉。

自分も旅に出る前、いたるところでこの言葉を聞いてきた。

どうしてもハイキング=歩くという行為に目がいきがちだが、同じトレイルを旅する他のハイカーやトレイルエンジェルと出会い、色々な物語をつくりながら”旅”をする。

それこそがロングトレイルの醍醐味だと表した言葉。

自分もこれに関しては同意見だ。

自分自身が旅の中で出会った個性豊かなハイカー達。

彼らがいなければ僕の旅は成立していないとさえ思うし、ただ山の中を長く歩くだけならPCTでなくてもよい。

世界各地から言語や文化の壁を越えて大勢のハイカーが集まり、出会えるトレイル。

だからこそアメリカ3大トレイルがスペシャルだと言われる所以なのであろう。

しかし、それと共に”ロングトレイルは出会いです”という言葉がひとり歩きしすぎているようにも感じている。

『トラブルもあったけどそれを乗り越えて、バディーと最後まで旅を共にしました!』

『トレイルファミリーと旅をし、毎日がお祭りのよう!』

『トレイルエンジェルから夢のような施しを受けました!』

色んな場所でこんな話を聞いていると、人に囲まれた旅だけが正解かのように感じてしまう。

実際、自分も旅の序盤は、

『ハイカー友達をたくさん作って彼らと旅をする』

無意識にそんな旅がイケてると思っていた。

ロングトレイルの旅の中で出会いは間違いなく必要だし、旅を色づけてくれる。

でもそれだけじゃないよね?

僕個人の意見だが、ハイカー=旅人は独立した存在であるべきだと思っている。

自らで選択し、決定し、行動し、未来を自分でつくり上げる。

そういうプロセスの中でこそ旅を感じられる。

他人に合わせて、馴れ合いでグループ行動しているハイカーには正直、『何しにきたんだろう?』と思ってしまう。

もしかしたら僕のこの意見に対して、それは違う!と思う方もいるかもしれない。

でもそれが当たり前。

何が大切かなんて十人十色。

結局何が言いたいかって、他人の意見に左右されず自分の心に従って旅をするべきだなと。

これだけの長期間、自分の気持ちにまっすぐに生活できる機会なんて、そうないのではないだろうか。

他人の意見に引っ張られて旅してるのが1番ダサいと思うし、もったいない。

誰に対してのメッセージやねん!って感じだけど、これは自分が感じたことをただ綴っただけ。

日常生活でも同じことが言えるかもね。

自分の心を1番大切に。

シエラネバダの残雪を突っ切るハイカー。少し前までこんなトレイルを旅してたんだなあ。

誰かのためでなく自分のため

話は変わるけど、先述したラジオの中で投げかけられた質問で、自分自身の答えが出ていないものがある。

『あなたにとってロングトレイルとは?』

自分が味わってきた旅のすべてを言い表すこの質問。

おそらくロングトレイルを旅してきた人たちは一度は聞かれているのではないだろうか。

何度かロングトレイルがテーマのトークイベントにも顔を出したことがあるが、必ずといっていいほど出てくる質問。

ハイカーの中にはモノに例えて上手く表現している人もいる。

そんな答えを持たないまま、帰国後の毎日を送っていた。

いや、正確にいうと整理できないまま。

旅を終えて時間がたてばおのずと答えも出てくるのかな?

そう思っていたが、そうはいかないようだ。

この投稿にそんな気の利いた言葉を添えて、PCT編を締めくくるつもりであった。

しかし、考えても考えてもしっくりくる言葉が見つからない。

このブログを書いている時にふと思った。

『もしかしたら無理に答えなんて出さなくいいんじゃない?』

もちろん日常ではありえないような経験をし、多岐にわたる学びや感情を得られる旅であることは間違いない。

しかし、自分自身、旅に出た理由は単純に”憧れとワクワク”。

何かの答えをだすために旅に出たわけではないし、あれだけの体験をひと言でまとめるなんて僕にはできない。

約4ヶ月、旅をこのブログに綴ってきたわけで、最後に旅を上手くまとめたいと思う気持ちはもちろんある。

そう思ってはいたが、無理に考えて綺麗に作り上げた言葉なんて、なんの意味も持たないだろう。

誰かに伝えなきゃいけない義務もない。

ということでこの件に関しては潔く諦めることとします。

自分の中で旅の経験を大切に思っていられたらそれでいいでしょ。

言葉に言い表せなくても、僕の中だけで光り輝いてくれてるよ。

それが1番大切だと思う。

コメント

スポンサーリンク

タイトルとURLをコピーしました